好きな人



突然の事だった。

学芸館の、僕の私室にランディ様が訪ねてきたのは。

部屋に招きいれ、座るように促す。

けれど、ランディ様は思いつめた表情のまま、微動だにしない。

「これで、最後にするから。」

訪問も突然なら、言葉も突然で。

僕は何の事だか分からなかった。

「ランディ様?」

名を呼ぶ。

けれど、ランディ様は聞く耳を持たないかのように僕を抱きしめ、キスをした。

奪うようなキス。

僕の唇を軽く噛んで、その後を舌で舐める。

そうされると、力が徐々に抜け落ちていくのが分かった。

ベッドに組み敷かれる。

もどかしげに、服をランディ様が僕の服を奪っていく。

僕は、瞬く間に姿態をさらす事になった。

「ランディ様!」

抗議の声は、けれど、彼には届かない。

首筋に、紅い刻印を一つ刻まれる。

所有の証。

彼になら縛られてもいい、そんな事さえ思ってしまう。

首筋に刻印をつけたその唇が、胸の飾りを含んだ。

最初はかるい、触れるだけの愛撫。

けれど、舌で丹念に舐められ、たまらず声が洩れた。

「ぁ・・・ん・・・。」

形ばかりの抵抗が、形さえも保てなくなっていく。

そうしているうちにも、ランディ様の左手が、僕のものを捉える。

人差し指でぐりぐりと先端を愛撫されると、雫が漏れ始めたのが分かった。

ランディ様の頭が徐々に下へと下ってゆく。

右手はその間も、胸の突起を摘むように弄っていた。

力が抜けてゆく・・・。

ランディ様が、僕のものに軽くキスをする。

「っ・・・ふ・・・ぁ・・・。」

それに舌を這わせ、愛撫されると、声が洩れた。

ランディ様は顔を上げ、ふわりと微笑むと、

その先端にキスをして、躊躇いもなく口へと含んだ。

「は・・・ぁ・・・ん・・・。」

ぴちゃりと、湿った音がする。

ワザと音をたてながら、追い詰められていく。

「や・・・っ・・・もう・・・っ・・・。」

びくり、と体がしなって、次の瞬間、限界を迎えた。

僕は体に力が入らず、息も絶え絶えで。

意識もぼんやりとしていた。

ゴクリと、ランディ様の喉がなって。

僕の意識がはっきりしだす。

唯の一滴さえももらさず飲み込まれて、僕はすこしだけ紅くなりつつ、ランディ様を見やった。

不意に、足を持ち上げられる。

「やっ・・・ランディ様・・・ぁ・・・。」

奥の窪みに、指が入ってくる。

その指は、何かに濡れていて。

ランディ様が指を動かすたびに、くちゅくちゅと湿った音が部屋に響いた。

「ぁ・・・っ・・・・っ・・・。」

スルリと2本目の指が入れられる。

2本の指が、押し広げるようにそこを愛撫して。

僕のいい場所を探し出す。

「や・・・ぁ・・・ん・・・。」

再び、ランディ様が僕のものに舌を這わす。

もう片方の手は、僕の突起を弄んでいた。

「ゃ・・・ぁ・・・ランデぃ・・・さま・・・ぁ・・・。」

限界が再び近づいてくる。

気付くと、無意識に名前を呼んでた。

「セイランさん・・・。」

きれいだ・・・と耳元で囁かれる。

不意に指が抜かれた。

変わりに腰が引き寄せられる。

「あ・・・ぅ・・・っ・・・。」

慣らされていた性で、たいした痛みはない。

それでも、異物を挿入される違和感が消えるわけではなかった。

圧迫感に、僕は小さくうめきを洩らす。

けれど、それにさえ気も止めずに、ランディ様のものが、僕の奥底まで入ってきて。

すぐに激しい抽送がはじまった。

「あっ・・・は・・・ぁ・・・ん・・・ランデぃ・・・さ・・・ま・・・?」

何時になく性急なランディ様に不安になって名前を呼ぶ。

けれど、その手が僕のものに再び添えられ、愛撫し始めると、

不安さえ感じる事が出来なくなった。

「ぁ・・・ぁ・・・ぅ・・・は・・・っ・・・。」

「セイランさん・・・」

名前を呼んで、切なげに好きだと囁かれる。

本当に、らしくなくて。

それでも、その言葉に、僕もだと返す。

「は・・・ぁ・・・ぁ・・・っ・・・。」

その言葉に反応したかのように、更に抽送が激しくなって・・・。

僕は再び、限界を超えた。

同時に、ランディ様が、中で精を解放する。

「は・・・ぁ・・・は・・・ぁ・・・。」

必死で肩で息をする。

「・・・で、何が最後なんですか?」

それでも、気にかかっていた事を尋ねた。

ランディが視線を逸らす。

「オスカー様が・・・セイランさんには好きな人が居るって・・・。」

そう言ったまま、後を続けないランディ様にようやく僕は合点がいった。

「それでも、俺、セイランさんが好きだから。でも・・・。」

自信なさ気に言ったランディ様に苦笑を洩らす。

「そりゃ、居ますよ。」

あっさりと、僕は返す。

「好きじゃなければ、こんな事、許すはずがないでしょう?」

まさか気付いてなかったとは思わなかったけど。

そういえば、一度も好きだと伝えた事はなかった気がする。

これだけ何度も肌を重ねれば、おのずと分かりそうな気もするが。

「えっ?」

きょとんとランディ様が僕を見返す。

まだ、分かっていないらしいランディ様に僕は説明する。

「オスカー様は『僕に好きな人が居る』といったのでしょう?

 僕の好きな人はランディ様ですよ。」

オスカー様は、『僕に好きな人間が居る』と言っただけで。

それがランディ様じゃないとは一言も言ってないのである。

ようするに、ランディ様はからかわれたのだ。

「オスカ〜様〜・・・!」

今にも飛び出していきそうな恋人に一つ溜め息をつき。

僕は苦笑しながら、ランディ様にキスを送った。






オチはそれかいって感じですね〜。(爆)
呼び捨て同志にしても良かったかな?とか。
一ついうなれば、ウチのCPとは逆という点。
いや、一つもないじゃんという突っ込みは置いときつつ。(笑)
新鮮でよいのではないかと。
ただ、ランディ様がちゃんと攻めに書けていたかは謎。(爆)