エルンストさんの悩み



とても暇だった・・・。
女王試験が終わった聖地。
もうすぐ離れ離れになるというのに、彼の恋人はまだ机に向かったままである。
「エルンストさん、まだ終わらないの?」
そう言って後ろから抱きつくが、邪険にされてしまう。
「あちらに行ってなさい、メル。」
そんな冷たい恋人にぷうっと頬を膨らませ、部屋を後にした。
聖地を去ったら、今度はいつ会えるかわからないというのに・・・。
(好きだって言ってくれて、僕、すごくうれしかったのに・・・。)
そんな事言った事もないかのように、エルンストはメルを無視して仕事をする。
普通は、もっと傍にいたいと思うのではないか?
けれど、そう思いメルが来ると、エルンストは困ったような顔をする。
あるいは、好きだといってくれたアレが夢だったのか・・・?
(もしかしたら、もう好きじゃなくなったのかも。)
まとわりつくメルに辟易して・・・。
あるいは、エルンストが考えていたメルとは違ったのかも知れない。
一筋の涙がこぼれた。
考え出したら止まらなかった。
涙は、メルが疲れて眠るまで流れ続けた。



「ふぅ・・・。」
ようやく終わった仕事に満足して、肩をとんとんとたたいた。
「メル、ようやく終わりましたよ。」
呼びかけて後ろをふり向くが、そこにメルの姿は無かった。
「メル・・・?」
なぜだかたまらなく不安になって、急いで部屋を出る。
「メル・・・どこですか、メル?」
呼びかけに答えるものは無い。ただ、無機質な廊下に声が響くだけだ。
出口に近い、一つの部屋。
そこにメルの姿を見つけてエルンストは安心した。
「メル・・・。」
どうやら眠っているらしい。
その頬に涙の後を見つけ、戸惑う。
「メル・・・起きなさい、メル。」
ゆっくりと目をあけたメルはエルンストの姿を見つけ思わず視線を逸らした。
「メル?」
その頬を再び涙が伝う。
「どうしたんですか、メル。」
突然泣き出されて戸惑う。
「エルンストさんが嫌いでも、メルはエルンストさんのことが・・・。」
泣きながら言われた言葉に驚きながらも、ゆっくりと返事を返した。
「嫌いなんかじゃありませんよ。どうしてそんなこと思ったんです?」
「だって・・・エルンストさん冷たいし。」
その言葉に苦笑する。確かに、少し避けてはいたのだが・・・。
本当のことは言えそうにはない・・・。
そう思ってエルンストはメルに口付けた。
ひどく、メルが愛しかった。







愛しているから傷つけたくない。
愛しているから触れていたい。
けれど触れれば傷つける。
この思いはそれほど狂気。
矛盾する思いはけれど真実。



・・・ラブラブっすねぇ〜。
結局何を思ってエルンストさんがメルを避けていたのかは出てきませんが・・・。
好きなのに避けるといったらあの理由しかありませんよ。
(↑想像にお任せします・笑)
別の方バージョンとか考え中・・・。