終わらない物語



目を覚ますと、ゼフェルの腕の中に居た。

ゆるくまわされた腕の中から、ゼフェルを起こさないようにそっと抜け出す。

隣で眠る愛しい人は、穏やかな顔をしていた。

「どうして気付かないんだよ?」

そっと呟く。

ゼフェルは別れの道しかないと思っている。

だけど本当は、道は数え切れないほどあって。

ランディは違う道を見つけていた。

ゼフェルにも、自力でその道を見つけて欲しかったのだが・・・。

「ランディ?」

ゆっくりと、ゼフェルが名を呼び、目を開けた。

腕の中に居ない事が、不安でたまらないというような、そんな声。

その声にランディは、少し嬉しげに微笑んだ。

「おはよう、ゼフェル。」

時間は迫っている。

本当は自分で気付いて欲しかったその道。

けれど、背に腹は変えられない。

「ゼフェル、一緒に暮らそう?」

不意に言ったランディに、ゼフェルが不思議そうな顔をする。

「お前の守護聖の任が解けたらさ?この館で俺の任が解けるまで一緒に暮らそう?」

任を降りた守護聖が、聖地を去らなければいけないという決まりはない。

瞬間、ゼフェルの顔が驚きから喜びに変わって。

気が付くと、ゼフェルの腕の中に居た。

プロポーズのような言葉。

本当はゼフェルから言って欲しかった言葉。

それでも、もう、どちらでもいいと思った。

ゼフェルと供に居られるなら。

「愛してるぜ、ランディ?」

「俺もだよ・・・ゼフェル。」

二人の物語は終わらない。



終わらない物語を二人で紡ごう。
道はいくつもあるから。
だから、二人で選んでいこう。
無限の可能性。
君と一緒なら、どれもきっと素敵な未来。