蒼酒



唇が重なって、オスカーは驚いて目を見開いた。

唇を重ねてきたのは彼の恋人。

頬が少し紅潮しているのは、酒のためか、それとも他のせいか・・・。

触れるだけのキスをして去っていく唇に残念に思いながら、オスカーはランディを見た。

「オスカー様、大好き。」

ぎゅっと抱きしめられ言われて、

せっかくこのままにしておこうと思ったオスカーの理性は切れかける。

試に、ランディのそれとはちがう深いキスをする。

「ふ・・・ぁ・・・ん・・・。」

くぐもる声を洩らしながらも、ランディがそれに必死に答えてくる。

酒によっているせいか、今日のランディはひどく素直だった。

「いいのか?ランディ?」

オスカーがそう尋ねると、ランディは花のように邪気のない笑みを浮かべた。

そのまま、一枚、また一枚と自らの衣を脱いでいく・・・。

「・・・っ。」

その動作に、オスカーの理性は切れた。

無言の肯定。

後から後悔しても、自分のせいじゃない。

心の中で言い訳しながら、オスカーはランディを押し倒す。

そして、再びキスをした。

深い深いキス。

先ほどのそれより、明らかに長いそれ。

「ん・・・っ。」

ランディが声を洩らしたのを機に、その口付けは止んだ。

かわりに、首筋へとキスをおとす。

桜色の花びらが、首筋に刻まれる。

そのまま唇は下へ行き、胸の突起を含んだ。

「あ・・・。」

ランディが声を洩らす。

オスカーはもう片方の突起も、手で摘んだ。

「は・・・ぁ・・・。」

そのまま、手の愛撫は続けながら、唇は下へと降る。

わき腹を通って、太ももへ。

肝心のランディのものへは触れずに、唇はさらに下へと降る。

太もも、膝、足首。

桜色の花びらがランディの肌に舞う。

「っ・・・。」

そのたびに押し殺した声を洩らすランディの足を恭しく持ち上げて、

オスカーはそのつま先にキスをした。

「・・・っあ。」

耐え切れず声を洩らしたランディにクスリとオスカーは笑んだ。

オスカーの唇が今度は、先ほどと逆を辿る。

再びあちこちへと刻印を刻んだ唇が、ランディのものへと辿り着いた。

それをオスカーが口へと含む。

「あ・・・っ・・・は・・・っ・・・ん・・・っ」

舌を這わせ、先端を愛撫する。

漏れてきた雫を、舌で奪う。

いつもならその行為を嫌がるランディは、けれど、足を広げてそれを甘受していた。

その様子に、煽られる。

「気持ち良いか?」

「ん・・・っ・・・。」

意地の悪い問いかけ。

それにランディは何時になく素直に頷き、短い声で返した。

「オス・・・カー・・・さ・・・まぁ。俺・・・一緒に・・・いきたい・・・。。」

肩で息をしながら、それでも言ったランディの額に口付ける。

普段なら絶対に聞けない言葉。

それに、オスカーは逆らえなかった。

「いくぞ。」

だから、短く声をかけて。

慣らす事も性急に、オスカーはランディの中へ入った。

もちろん、傷つけないように気を付けながら。

「は・・・ぁ・・・ん・・・っっ。」

苦しげにランディが声を洩らす。

傷つけないようにと濡らした蕾が、ぐちゅっと音をたてる。

「・・・っ・・・ん・・・あ・・・っっ・・・ん・・・。」

激しい抽送が始まる。

声を洩らさないようにと、ランディはその手を唇へともっていった。

ぐちゅぐちゅっと、湿った音が部屋を支配する。

ランディの目から、涙が零れだす。

「や・・・ぁ・・・ッ・・・ん・・・。」

一際高い声を立てて、ランディの体が仰け反った。

そのまま、体から力が抜けた。

力の抜けた恋人を腕に抱きながら、オスカーも限界を迎えた。

「愛してる・・・。」

何時になく素直だった恋人にオスカーはそっと囁いた。



翌日、全てを覚えていたランディがオスカーを見て赤面したのは言うまでもない。






テーマはお酒。
前々から書きたいとは思っていたテーマです。
タイトルは散々悩んだ末に、『蒼酒』に。
隠れ設定でオスカーがランディ様に飲ませた酒が蒼かった事と、
オスカー様を酔わす酒はランディ様(イメージ蒼)って事で。(笑)
エロは結構一人称で書くことが多いのですが、
今回は3人称バージョンにしてみました。
きっと、2人称(攻め視点)で書くことはないのだろうなぁとか思いつつ。